ていねいに教え、細かな修正を繰り返すほど、選手の良さが失われたり、思うような結果に繋がらないことってないですか?
そんなコーチの悩みは、アクノレッジメント(承認すること)できそうです。このアクノレッジメントは指導の柱とも言われ、実際に僕も取り入れている指導の技術です。
承認は分かりやすく

「うまい!!」僕が経験して、忘れられない選手のプレーを承認する、あるコーチの言葉です。
プレーのアイデア、意外性、そして技術の精度すべてが詰まったプレーに対して、うまい!!の一言。15年ほど前でしたが、それを身近で聞いて以来、僕はその類の言葉を多用しています。
それまで使っていた言葉は、指導の言葉としては間違ってなかったのかもしれません。でも、結果的に同じような言葉を繰り返しているだけで、選手に伝わっていないことが多いことに気づきました。
アクノレッジメント
自己成長を認知させるアクノレッジメントは指導における、非常に重要な技術とされているようです。
僕はこの言葉を最近知りました。

That’s it!
教えたり注意したりするのではなく、よく観察していて、もしかしたら本人さえも気がついていない言動や行動に「それだよ!」と伝える。それが、もっとも効果的な「声のかけ方」のひとつです。これを <アクノレッジメント(承認すること)> といいます。
3分間コーチ 伊藤 守
コーチは選手の変化や成長にいち早く気づき、言語化してはっきり伝えます。そして、事実を事実として伝えることがとても大切とされています。
承認の3つの視点
- 存在承認:あいさつや、相手の状態を具体的事実として伝えます。
- 成長承認:相手の変化や成長に関わる事実を伝えます。
- 成果承認:成果を伝える。
*参考文献:コーチングの基本 コーチ・エイ著
これら3つの視点は、いずれも「事実」を伝えることです。事実に上乗せするように、話す内容を盛っても効果はないでしょう。コーチはちゃんと事実を把握した状態で言語化し、選手に伝えることが重要です。

もうひとつの視点?
もしかすると、1と同じことかもしれませんが、僕がひとつ付け加えたいのが「やろうとしたこと」へのアクノレッジメントです。
僕が言うこの「やろうとしたこと」とは、選手が行動を起こそうとしたこと、あるいはちょっとやってみたことなどの意味です。
これは、事実として見えてこないことが大半です。一瞬のことだったり、時には行動に現れる前の現象なので、そこを読み取ってのアクノレッジメントは非常にむずかしいです。
Tipsちょっとした選手の行動や表情を読み取り「いいんだよ」とか「やってみな」と、ちょっと背中を押してあげれば、大抵の選手はやろうとしたことを、安心して実行します。
新しいことへチャレンジするとき、誰でも不安はあります。勇気がなかったり、失敗をするのが怖かったりと、気持ちはあっても、自分で中断あるいは停止してしまうこともあります。なので、この何かをやろうとしたことへのアクノレッジメントは、一つの重要な視点だと僕は考えています。
自分の言葉で、自分らしく伝える
今でも「うまい!」はたくさん使います。そして、このシンプルな言葉のおかげで、指導で使う言葉が、自分の言葉になり、自分のキャラクターが言葉に乗っかるようになりました。
そしてこれは実体験ですが、上の承認ポイントを見逃さず、それを言語化して伝えることで、選手たちの躍動感、モチベーションは以前とは比較にならないほど激変しました。
僕はほんとうにこのアクノレッジメントは大切だと考えています。ちょっとむずかしい、しかも専門的な言葉を並べても、選手はその言葉を処理しきれないことが多いです。
明日からアクノレッジメントにチャレンジしてみてください。選手の姿が変わり、自分の指導が変わっていくことを体験できます。そしてこのアクノレッジメントの技術は、あなたをもっといいコーチに成長させてくれます。