悩みを抱えている様子の選手を見て「困ったときは、いつでも聞きにおいで」と言っても、選手はなかなか話しに来ないです。
しばらく待っても来ないので、コーチが選手を呼んで話しをすると、コーチが話すその内容は、期待していたものと違うのか、一向に表情は晴れません。
そんなこんなをくり返すうちに、お互い話しづらい関係になり、やがてコミュニケーションが途絶えてしまいます。
そこで、僕が試してすごい効果的だった方法を紹介します。
「こういうとき」を予め提示する
「この場面の、こういう状況の判断に迷ったら聞きに来て」と伝えておきます。この問いかけの方法はズバリ正解でした。こういうときに聞きに来てをあらかじめ選手に示しておけば、じっさい、本当に聞きに来るようになりました。
もし迷いながらもプレーしている選手がいたら、一度試してみてください。僕は今でもこの手法を継続していて、選手の未来にいい効果が期待できそうです。
Pointもしかしたら、聞きに来なかった理由は、自分を迷わせている理由が何か、どんな状況なのか理解できていなかったと考えることもできます。

コーチも準備できます
「こういう時に聞きに来て」と、ある程度質問の的を絞ってあげることで、選手は聞きやすくなります。ということは、コーチが答える内容もあらかじめ準備できることにもつながります。
時々あると思うんですけど、選手がいきなり質問に来て、答えるのに窮したことってないですか?
僕にはこの経験があり、何か言わなければと慌てて口から出てきた言葉は、何だか的を得ない曖昧な答えで、自分でもよく分からない内容になってたことが何度もありました。
質問の的を絞ることは、こういった曖昧な状況を避けるためではないですが、普段からこのように選手に問いかけることで、コミュニケーションが円滑に進むようになります。
コーチは欲を出さないように
対話が始まると、コーチは伝えるチャンスだと思い「欲」みたいなのが、じわじわ出てきます。で、いろんなことを話したくなります。
だけど、ここぞとばかりに、いろんなことを話してしまうと、せっかく明確だった対話の中身が、薄れてしまうことになります。
質問の内容がはっきりしているのだから、コーチは質問の内容以外のことを話す必要は無いですね。
次の課題につなげる
対話の最後にこんなふうに付け加えておくといいと思います。
コーチと選手のいい関係は、育成年代の選手の成長にとってすごく大切だと思います。もちろん全ての選手が、コーチとの対話を望んでいるわけではないと思いますが、いつでもコミュニケーションをとれる状況は、望ましいはずです。
なので、対話を継続させるためにも、一つの悩みが解決できたら、次の課題へ向かうためのちょっとした一言を残しておくのもいいかもしれません。
コミュニケーションに苦労しているコーチは、ぜひ試してみてください。
参考文献「3分間コーチ」
Discover 伊藤 守