中国北京市からサッカー少年7人と、その指導者たちが7月12日に来日。第2回目となる日中国際交流の内容を、この記事でお伝えします。日本キャンプと題した今回の日中国際交流は、今後のさらなる交流の可能性を期待させる、質の高い9日間でした。
大きな心の充足感を得て帰国した彼らから、今回協力してくださった日本の指導者の皆さまへ、感謝の言葉をいただきました。
iMAの狙い

違いを学び、違いを比較し、違う慣習に触れる。
iMAの国際交流は「違いを認め合う」ことを狙いとする活動です。
飛行機でわずか3時間あまりで、言葉がちがう国に到着します。日本に到着した北京の子どもたちは、コンビニの多さに感動し、町の綺麗さや優しく丁寧な日本人の対応に戸惑い、身動きがとれず固まります。
単純なことなんですが、違う国に来れば、今まで通用していたことが、通用しないことに初めて気づきます。
そんな子どもたちの実体験からはじまる、iMAの国際交流は、スポーツ・教育・文化の三つの分野から成り立っています。
スポーツ交流

まずはスポーツの交流。今回は名古屋オーシャンズという、プロフットサルクラブのコーチの皆さまに協力していただきました。滞在期間中に日本人コーチの指導を受け、個々のレベルアップにチャレンジしてもらうのが目的。
日本キャンプに参加したのは、北京市中央エリアの華文学院内にある、華文足球倶楽部(華文FC:かぶん )の子どもたち。じつはこの華文FCは、日本の指導方法を導入しており、幼児から中学生まで、現在130名ほどのメンバーが在籍しています。
その華文FCのスタッフに感想を聞いたところ、日本の指導方法を導入してはいるものの、実際に目にした日本人コーチの細やかな指導に深く関心したようです。
日本の子どもの集中力
「集中力は大きな違いがある」華文FCのスタッフは、日本の子どもが練習に取り組む姿勢や、その集中力の高さに感銘を受け、この違いが大きな差を生んでいると話してくれます。
また日本の子どもたちの、チームメイトを思いやる心づかい、相手をリスペクトする精神への関心度も高かったですね。僕たち日本人指導者にとって当たり前の風景も、中国の人たちにとっては新鮮で、見習うべき点に溢れているようでした。
このスポーツ交流を通じ、彼らは「違いを学ぶ」ことの重要性を感じとってくれたようです。
教育交流

そして教育交流。青少年の教育に関する情報交換は、この国際交流事業の柱ともいえます。なぜなら、違いを認め合うためには、まず教育環境を知ってもらうことが重要だからです。
私たちがどのような環境で教育を受け、日本人の風習や精神が、どのように作られていったかを理解してもらえると考えているからです。夏休み前の多忙な時期でしたが、愛知県岡崎市立六ツ美中部小学校と市立六ツ美中学校へ訪問させていただきました。
今回の学校訪問は、華文FC代表者に合わせ、この企画を聞きつけた、孙(スン)というお名前の指導者が、ぜひ帯同させてほしいということで、3名による学校訪問になりました(後で知ることになりましたが、この方は中国国内で、もすごく名のある教育者だそうです)。
自由と規律
廊下の水槽、教室の壁に貼られた絵、放課時間に運動場で元気に遊ぶ子どもたちの姿。中国の小中学校の様子との違いに、感心した様子の孙さんでした。
それだけではなく、清潔に保たれた校内美化や、給食の配膳などが子どもたちによって行われていることを知り、とても驚いていました。自由と規律のバランスが整った、子どもたちの教育活動に適した素晴らしい環境だと、高く評価されていました。
教育交流は、国の基盤をなす教育の「違いを比較」し合い、より良い環境づくりに役立つ、情報の共有につながっていくでしょう。
北京に戻ったら、今回の訪問で見て感じたこと全てを、広く知らせると話してくれました。



学校訪問を終えたあと、岡崎市内で食べた鰻丼の美味しさに大満足し「また来ます」と言い残され帰国の途に。
みなさん、またぜひ岡崎へ来てください。
文化交流

最後は文化交流。iMAが考える文化交流は「違う慣習に触れる」です。
慣習の意味は行動様式と捉えており、挨拶や礼儀、食事をする時のマナーから、細かくは自分の荷物の管理などのことです。
これらは私たち日本人からすれば、できて当然の行動に思えますが、外国の子どもたちにとっては、未知の領域なんです。
一般的にですが、たとえば日本のレストランでは、他のお客さんの迷惑にならないよう、騒がずに食事することを求めらますよね。しかし、北京のレストランは賑やかな雰囲気でないと、お客さんに喜ばれないと聞きました。じっさい、僕が生活していた付近のレストランは、人々の話し声や笑い声で活気にあふれ、賑やかなレストランばかりでした。
こういった慣習の違いに触れることは、自分の視野を広げ、寛容な精神を育てることに役立つと考えています。
違いを認めたあとの効果

慣習の違いに合わせることに、ストレスを感じることがあります。でも、その土地に入ったからには、そこの慣習に習わなければ、相手にされなくなることもあるでしょう。
そういった慣習の違いに触れてもらうことが、文化交流の重要なポイントです。
電車内では静かに過ごすことを教え、民宿では布団を自分で畳むことを求めます。でも、子どもたちがこの慣習に慣れるために2日も必要ありません。1日過ぎれば、子どもたちはその違った過ごし方を楽しむようになり、お互い注意しあいながら生活するようになります。
そして、最大の特徴は「自分の足りない部分を、自分で補えるようになること」です。
いつもの生活では気づけない、自分に足りないものを子どもたちは、違う国の、違う慣習の中から見つけます。そして、足りない理由を自分で理解するように変化していきます。
もしかするとこの変化は、短期間の滞在で得られる、最大の効果かもしれません。
まとめ
互いの違いを認め合うことが狙いのiMAの国際交流事業。
スポーツ交流で違いを学び、教育交流で違いを比較し、文化交流で違う慣習に触れる。
きわめて自然な環境のもとで行うこの国際交流は、私たち大人にも重要なメッセージを与えてくれます。
今回のこの一歩にどんな意味があったのかは、数年後もしくは数十年後にしか分からないでしょう。でもこの国際交流が、子どもたちに残すべき平和な未来づくりに貢献できることを信じ、これからも活動を続けていきたいと思います。
今回の日本キャンプにご協力いただいた関係者の皆さまへ、心よりお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。


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