【コトバコーチング】置き去りのコーチングの言葉

年々キャリアを積み、周囲の評価が高まりはじめた32歳の指導者の話し。試合の結果は出るようになったけど、とにかく人が育たない。本人は「自分のコーチングの何かが原因で、選手の自主性やアイデアを奪っている。だから試合結果は良くても、人が育たない」と分析。

そこで、この悩みを抱える指導者のコーチングを観察、分析してみることに。そこでスポットをあてたのがこの指導者が使う「言葉」です。

今回からこの指導者が変わっていく姿を紹介し、あらためてコーチングの言葉の重要性をお伝えしたいと思います。

すべて実話です。

コトバコーチング

コーチングの言葉を見直したこのコーチの評価は高まり、その後大きな飛躍を遂げました。

練習で最初から最後まで聞こえ続けた指示の声は減り、常に広い視野を持つ、冷静な判断ができるコーチに成長しました。

コーチングの言葉を意識する。それは、コーチングにおいて最も重要でありながら、多くのコーチがなんとなく置き去りにしていることかもしれません。

自分のコトバ

僕が知ってるスゴいコーチの共通点を書きます。

それは、普段づかいの言葉とコーチング時の言葉に違いがないこと逆に、成果を得られないコーチは、普段とコーチング時の言葉に大きな違いがある人が多いです。

この違いがない言葉のことを、自分のコトバとこの記事では表しています。

このコーチは、普段は冗談好きで、どことなく砕けた会話で周りを惹きつけるのがすごく上手い。だけど、コーチングになると隙がない顔に変わり、いつもの言葉から、キリッとした標準語(みたいな)に変わり、指導が始まります。

だから周りからは、なんとなく別人に見えるような印象を与えます。

自分らしさがあるほど伝わる

ある日の練習後、自分のコトバでコーチングすることを提案してみました。理由は、軽快な関西なまりの言葉の流れは、とても聞きよく、いっしょに話すのが楽しくなるからです。

この雰囲気をコーチングに取り入れることができたら、何かが大きく変わるような気がしました。だから、いつもの言葉(軽快な関西訛り)でコーチングしてみることを提案しました。

コーチングの言葉を普段と同じ言葉に揃えた結果、練習の雰囲気は一変し、躍動感や熱量がひしひしと肌に伝わってくるようになりました。

丁寧で分かりやすい。だけど機械的

このコーチのコーチングは正直、技術的な問題点を見つけるのが難しいほど。時間配分も、場の設定も完璧で練習の進行もすごくスムーズ。

そして、選手のプレーレベルは驚くほど高い。

熱量少なく、こなすだけ

だだこのコーチの練習では選手の声が少なく、全体の熱量はとても低く感じられました。そしてコーチの言葉は、正確無比なんだろうけど、ちょっと耳ざわりだし、選手たちの動きはどことなく機械的な印象。

練習中の声や熱量が、選手の成長に影響があるかどうかは分かりません。ただ言えることは、常に選手を前向きにするためには、練習の雰囲気は重要だと思います。そしてこの雰囲気は、コーチの言葉によって大きく変わってくると考えています。

言葉を揃えてみる

自分のコトバだと、いろんな操作がしやすいと感じたようです。以前よりは言葉を発するタイミングを計ることもでき、瞬時に判断を求められても、正確に答えることが出来るようになったようです。

普段づかいの言葉とコーチングの言葉を揃えることに、そんな効果があるとは思いませんでした。でもたしかに、コーチの表情は変化し、選手とコーチの距離も近くなりました。だから数多くの双方向のコミュニケーションが生まれ、言葉のやりとりが増えたのでしょう。

言葉を意識することで、コーチングが大きく変わるかもしれません。いま自分が口にしている言葉に少し意識を向けてみてください。そうすることで、コーチングの視野がもっと広がってくるはずです。

この記事は役に立ちましたか?

iMA

iMA

サッカーコーチ|1972.4.1|2022年10月iMA設立|2023年春Zero coachスタート

related